めぐろパーシモン 小ホール 人形浄瑠璃文楽 レクチャーと公演

春めいたうららかな陽気の日に、三番叟と道行初音旅という私の大好きな景事を観ることが出来て、楽しい公演でした。


二人三番叟

三番叟は一輔さんと紋臣さん。一輔さんの方が三枚目の三番叟の方。きびきびした動きで、観る人を魅了します。楽しい三番叟でした。

床はシンが希さんと團吾さん。團吾さんが単発の公演に出ているのはすごく珍しい気がします。

義経千本桜 道行初音旅

寒さが緩んで、春の足音が近づいてくると聴きたくなる曲の筆頭は、道行初音旅。できれば静御前は呂勢さんで、三味線は清治師匠か藤蔵さんで聴きたい。今回は呂勢さんと藤蔵さん。呂勢さんの良く通る声と味わい深い、美しい旋律、藤蔵さんの華やかでパワフルな三味線。舞台の背景には溢れんばかりの桜の花に青い空。完璧です。

人形は、事前に公開されていたてっきり勘十郎さんが源九郎狐と思いきや、静御前が勘十郎さん。では源九郎狐は誰かというと、幸助さん。本当は忠信の方が狐の化身なのだけど、勘十郎さんの志津香御前の方が、よっぽどただ者ならぬ雰囲気が漂っていて。ちょっと笑ってしまいました。勘十郎さんの十八番の役を他の人がされると、いかに勘十郎さんがその役に工夫をこらしているかが良く分かります。だけどその勘十郎さんも簑助師匠の静御前にはかなわない。こうやって、長い年月をかけて、先を行く人を追いかけていくのでしょうね。

最後の静御前の扇投げは、高く上がって大きな孤を描き、狐忠信は何とかキャッチ!

幸先の良い春となりそうな、素敵な公演でした。