新橋演舞場 五月大歌舞伎

一、彦山権現誓助剱 毛谷村(けやむら)
二、上 藤娘(ふじむすめ)
  中 三社祭(さんじゃまつり)
  下 勢獅子(きおいじし)
三、一本刀土俵入(いっぽんがたなどひょういり)

http://www.kabuki-bito.jp/theaters/shinbashi/2008/05/post_10.html

五月はまだ歌舞伎座夜の部しか拝見していないのに、最後の土日。苦渋の選択(?)で、より見たい役者さんが多い、新橋演舞場昼の部を見た。いつもながら、五月新橋演舞場限定の吉右衛門一座はチームワークの良い舞台で、かつ、今回は完成度が高く、歌舞伎座夜の部に負けず劣らず、楽しい舞台だった。

一、彦山権現誓助剱 毛谷村(けやむら)

いきなり微塵弾正との剣術の試合のところから。錦之助丈の微塵弾正がかっこいい。子役の子もとっても上手かった。亀治郎丈の女形(お園)を見ると、いつも、女らしさというのは、後天的に習得できるもの、と反省させられる(が、一度も実践できず)。
吉右衛門丈は、殺された老女の息子という御馳走の端役だったが、顔が又平チックで面白かった。あれは、文楽では絶対、又平の首だな。いつか毛谷村を文楽で観ることがあったら、確認せねば。吉之丞丈が一味斎後室お幸役。大好きな吉之丞丈を見れてうれしくなる。吉之丞丈は、自分の仕事が無い間、吉右衛門丈が舞台にいるときは、じっと吉右衛門丈を見ている。さすが、こういう人が一門を支えているのだ。


二、上 藤娘(ふじむすめ)

The 成駒屋ワンマンショー。最初は劇場の非常灯以外の照明をすべて落とし、真っ暗やみの中に長唄だけが聞こえる。そして、ぱっと明るくなると、舞台面一面に松の木から垂れ下がる藤の花。客席がどっと沸く。福助丈は、とても楽しそうに全開モードで踊っていた。しかし、もし全開モードを10分の一に抑えて、あの時々見せる、恐ろしいほどの魅力的な表情を計算して出したら、福助丈ってものすごい役者さんになる気がする。

中 三社祭(さんじゃまつり)

染五郎丈と亀治郎丈の踊り。これは息が合っていて、今まで見た三社祭の中でも、一、二を争う面白さだった。

下 勢獅子(きおいじし)

これも、気合が入っていて面白かった。大坂もいいけど、お江戸もいいな!


三、一本刀土俵入(いっぽんがたなどひょういり)

長谷川伸の脚本という。そういえば、以前、TVで新派?の劇場中継を見た気がする。時代劇とどう違うのさ、と言われても、これぞ、「歌舞伎役者がやればすべて歌舞伎」の典型としか、いいようがない。などというと、気分の問題に聞こえるけど、もっと具体的にいえば、多分、歌舞伎の様式(台詞の節回し、演技の型等々)が身についている役者さんがその様式に則って演じると、歌舞伎となる、ということなのでしょう。

芝雀丈がはまっていて、好演だった。芝雀丈は、世話物の方が意外にはまる気がする。最後に歌六丈を見れて満足、とゆーか、もっと出番があってほしかった。歌六ウォッチャーの私としては、演舞場昼の部で、そこが唯一の不満だった!