2016-01-01から1年間の記事一覧

国立劇場 12月文楽公演 仮名手本忠臣蔵

国立劇場50周年記念の演目。毎年12月は鑑賞教室だけど、今年は仮名手本忠臣蔵の通し。朝10:30から夜は21:30まで。休憩は一部、二部に一回ずつの25分の長い休憩以外は10分単位、入れ替えも20分程度というハードなタイムテーブル。しかし、これでも床本は古典…

9月文楽公演 一谷嫩軍記通し(その2)

今回の公演を機に熊谷陣屋を読み直して、弥陀六=弥平兵衛宗清の件で気がついたことがあった。私は今まで敦盛の首実検の後、宗清が絡む一連のエピソードが何故あるのか分からなかった。首実検だけで十分「熊谷陣屋の段」で表現すべきことは語られているよう…

国立劇場 文楽九月公演 通し狂言『一谷嫩軍記』(その1)

『一谷嫩軍記』の通し。並木宗輔の絶筆となった三段目までを上演。「熊谷桜の段」、「熊谷陣屋」以外では、「陣門の段」「須磨の浦の段」「組討の段」は2010年に大阪で観ているのですが、結構忘れていて、なぜか歌舞伎の印象と置き変わっていた。通しで観て…

文雀師匠

文雀師匠が亡くなったとニュースで知り、とてもショックでした。舞台上のお姿を観るだけだったので、亡くなったといっても、あまりよく理解出来ません。私は頭の中で、ありありと文雀師匠の遣った人形を思い出せるのに、文雀師匠が遣っていた首は多分、今も…

渋谷区大和田伝承ホール 鶴澤寛太郎の会

寛太郎さんの素浄瑠璃の会。小住さんがお相手です。番組は『絵本太功記』の「尼崎の段」のみ。一本勝負の構成です。パンフレットにある寛太郎さんの挨拶通り、気合いの入った内容でした。小住さん、寛太郎さんお二人とも、この世代の方々の中では抜きん出て…

国立文楽劇場 夏休み文楽特別公演(その1)

夏の文楽は好き。ひとつには、衣装が涼しげな白紋付になるから。以前も東京の9月公演では白紋付の時期があった気がするけど、最近は白紋付は見てない気がする。私が見る時期が遅すぎるのかな?ともあれ、舞台の上の方はスポットライトを浴びて暑いかもしれな…

国立文楽劇場 夏休み文楽特別公演(その2)

夏休み文楽の続きです。第二部伊勢音頭恋寝刃古市油屋の段油屋の段は、咲師匠のものが如何にも粋で華やかな雰囲気があって好き。特に大道具や衣装のデザインがさりげなくお洒落なところ。流水に盃というモチーフは中国の文人達が曲水の宴で遊んだ一日を詠っ…

森ノ宮ピロティホール 其礼成心中

2012年8月初演の「其礼成心中」の大坂での再演。うまく都合が付けられたので、がんばった自分へのご褒美で行ってきました。この「がんばった自分へのご褒美」って言葉、キケンです。なぜなら、たいていの贅沢は、この一言で正当化できてしまうから。若干後ろ…

国立劇場小劇場 文楽若手会

本公演で普段、主だった役を演じる機会の無い若手が主となって演じる公演。今回は4月公演で演じられた妹背山の通しのうちの後半部分(杉酒屋以降金殿まで)に井戸替が付け加わりました。井戸替は笑えるし、音楽的にも楽しくて、面白い。4月は省略されてしま…

国立文楽劇場 文楽鑑賞教室

都合によりA班、B班を拝見しました。A班を見たときは学生さんと一緒でした。学生さんと一緒に観ると、『夏祭浪花鑑』って、オトナ向けな演目だなあと、改めて実感。なぜって、初っぱなから人前で堂々と二人して消えてしまう琴浦さんと磯サマとか、「あなたは…

文雀師匠の引退

文雀師匠が引退されたと知って、とうとうそんな日が来てしまったことに非常にショックを受けています。私は文雀師匠の玉手御前の妖艶さと可憐さ、一本筋の通った心根に衝撃を受けて文楽を観始めました。どの舞台もとても印象に残っています。あまりに文雀師…

国立能楽堂 3月特別企画公演 復興と文化 特別編 老女の祈り(その1)

国立能楽堂が東日本大震災の翌年から続けてきた「復興と文化」の企画。今回は、毛越寺の延年の舞のうち、「老女」と、明治以前に廃曲となった「護法」を元にして復曲した「名取ノ老女」が25日(金)と26日(土)に開催された。私は26日にお伺いしました。延…

国立劇場 文楽2月公演 第3部

2月公演の演目のうち、物語として最もおもしろかったのは、やはりダントツで、『義経千本桜』の「渡海屋・大物浦の段」だった。『平家物語』によれば平知盛は、壇ノ浦の戦いで、あえなく総崩れとなった平家の有様を見届け、「見るべき程のものは見つ」という…

国立劇場 文楽2月公演 第1部

信州川中島 輝虎配膳の段、直江屋敷の段輝虎配膳の段は観たことがあったけど、直江屋敷の段は初めて観た。輝虎配膳の段だけでは意味が分からなかったことが、直江屋敷の段を観て、初めて分かったことがいくつかあった。今後も輝虎配膳を出す時は直江屋敷とセ…

国立劇場 文楽2月公演 第二部

嶋大夫師匠の引退公演初日にお伺いしました。桜鍔恨鮫鞘 鰻谷の段2015年の11月公演で観たときは、全然納得できず、どういう見方をすれば面白く感じるのか、よく分かりませんでした。今回も本当のところ、納得できませんでした。でも、この段の主人公は八郎兵…