新国立美術館 安齊重男の “私・写・録(パーソナル フォト アーカイブス)”1970−2006

ANZAΪ: Personal Photo Archives 1970-2006

会期: 2007年9月5日(土)〜10月22日(月)
http://www.nact.jp/exhibition_special/2007/anzai/index.html

とにかく膨大な量の人物写真が年代順に並んでいる。
「過去の記憶が走馬灯のようによみがえった」というクリシェがあるが、もし、ここの展示のようにおびただしい量の絵がフラッシュバックでよみがえったら、確実に酔ってしまいそう。

70年代から順々に見ていくと、70年代がダントツに沸々とした狂気に近いエネルギーを感じさせるし、見る者にもエネルギーを使わせる。もし、今、いきなり70年代に連れて行かれて、尖がったアツイ議論をふっかける人々の輪の中に放り込まれたら、逃げ出してしまうかもしれない。「どんだけ〜」なんて、傍観者ぶった言い方は70年代の人たちには通じそうも無い。そして、80年代、90年代と年を経るにつれ、被写体となる人たちは、だんだん、良くも悪しくも、キレイに、穏やかに、大人しくなっていくのだ。

写真の枚数がとにかく多いので、被写体となった人も膨大。美術に詳しい方なら、かなり興味深いだろう。私はこの世界には(も)疎いので、安藤忠雄とかイサム・ノグチとか超有名人を何十人に一人のペースで見つけるだけだが、美大出身の方や業界の方は、知った人の昔の写真が沢山あって面白いに違いない。実際に、「この写真、若い!」とか、「やせてたんだねー」、「結構昔は美人じゃない!」などといった会話をする人たちがそこかしこにいて、そういう会話を漏れ聞くのも面白かった。それと写真好きな人が多く来場しているのか、やたら館内・外で写真を撮っている人が多かったのも興味深い。歌舞伎座には着物を着る人が多くいて、能楽堂にはおじさんが沢山いて、写真展には一眼レフのカメラを持った人がわいわい集合する、という訳だ。