新国立劇場 サロメ

R.シュトラウス/全1幕【ドイツ語上演/字幕付】
【初演】1905年12月9日 ドレスデン宮廷歌劇場
【指揮】トーマス・レスナー
【演出】アウグスト・エファーディング
<キャスト>
サロメ】ナターリア・ウシャコワ、【ヘロデ】ヴォルフガング・シュミット、【ヘロディアス】小山 由美 、【ヨハナーン】ジョン・ヴェーグナー、【ナラボート】水口 聡、【ヘロディアスの小姓】山下 牧子
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000011_opera.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%AD%E3%83%A1_%28%E3%82%AA%E3%83%9A%E3%83%A9%29

19世紀の世紀末の独特の雰囲気に彩られた繊細で美しい、R.シュトラウスの音楽と、オスカー・ワイルドの戯曲の結婚。そこに立ち現われた世界は、ギュスターヴ・モローサロメの世界。中央にセリを利用して設置された大きな井戸は、ヨハナーンを幽閉する井戸であり、サロメの宿業の深さを象徴するオブジェであり、聖書の時代と現代、灼熱の古代イスラエルと寒さに凍える現代の東京を結ぶ、時空を超えたトンネルでもある。

パフォーマンスは、サロメをはじめとして、ヘロデ王、ヨハナーン、ヘロディアス、東響と皆、レベルが高く、大満足。

サロメが繊細な音楽にあわせて妖しく踊る場面、踊りの褒美としてヨハナーンの首を所望し、それに反対するヘロデと、主張するサロメ、後押しするヘロディアスの複雑に絡み合った緊張感の高まる場面、ヘロデの首が切られた後、サロメがその首を抱えながら、何故ヨハナーンの首が欲しかったのか、自分で自分に言い聞かすように歌う一連の場面は圧巻。特にサロメがヨハナーンの首を手に入れた後は、数小節ごとに長調短調が入れ替わり、彼女と観客の複雑な心理を増幅する。

また再演があったら見てみたい作品だ。