東京国立博物館 平常展

伝統芸能を見ていると、どうしても古美術が見たくなりませんか?ならないですか、そうですか。
私は、どうしても見ずにはいられなくなって、上野に行ってきてしまいました。

●仏教の美術 ―平安〜室町 3室
夢記断簡(明恵筆、鎌倉時代・13世紀)

「夢有リ」で始まるところまでは読めたのだが、その後は読めず。ただ、面白かったのは、絵が添えてあったことだ。水墨画にあるような険しい岩山が書いてあるのだった。明恵は何の夢を見たのだろう。


●宮廷の美術 ―平安〜室町 3室
男衾三郎絵巻(鎌倉時代・13世紀)

男衾三郎と吉見二郎の物語。現存しているのは、吉見二郎の話までで、男衾三郎が活躍するところは残っていない由。そういえば、埼玉県に吉見という地名や男衾という地名がある。男衾三郎絵巻の内容については以下に説明があった。
http://nire.main.jp/rouman/fudoki/14sait16.htm
絵的には、ソバージュのお姫様が描いてあってびっくりした。平安時代のお姫様はすべからくストレートヘアだと思ってたけど、当然、天パのお姫様だって、それは、いるでしょうね。


●書画の展開 ―安土桃山・江戸 8室
伊勢物語絵巻 巻第六(絵・住吉如慶筆 詞・愛宕通福筆 江戸時代・17世紀 )

第三十段(あふことは)、第三十一段(忘草)、第三十二段(しづのおだまき)辺り。そういえば、静御前の詠んだという「しづやしづ しづの苧環くりかへし 昔を今になすよしもがな」は、この「いにしへの しづの苧環くりかへし 昔を今になすよしもがな」が本歌でした。


●浮世絵と衣装 ―江戸  浮世絵10室
楽屋内五代目市川団十郎(勝川春章筆、江戸時代・18世紀 )

楽屋でくつろぐ團十郎。面白いのは、傍らに渡世人風の鬘があったこと。渡世人風ぐらいだったら自分の髪で結ってしまうんじゃないかと漠然と思っていたが、考えてみたら、一日に何演目も出るのなら、いちいち結い直している暇はないでしょうね。目から鱗だ。

江戸名所・高名輪沖(渓斎英泉筆、江戸時代・19世紀 )
江戸名所・愛宕山景(渓斎英泉筆、江戸時代・19世紀 )

高名輪には帆掛舟、愛宕山からは海が見える。今となっては想像もつかない風景だ。