国立劇場小劇場 社会人のための文楽鑑賞教室 Aプロ

社会人のための文楽鑑賞教室 12月5日(金)・12日(金)18時30分開演(21時終演予定)

二人三番叟

解説 文楽の魅力
 義太夫節について
 人形の遣い方

菅原伝授手習鑑
 寺入りの段
 寺子屋の段
http://www.ntj.jac.go.jp/performance/2166.html

二人三番叟

何時聴いても楽しいのだった。三業、それぞれ大変なんだろうが、この曲の全体の調和は足拍子を踏む人にある程度掛かっている様に見えるので、足遣いさんは大変そう。


解説 文楽の魅力 義太夫節について、人形の遣い方

つばさ大夫は、ばりばり大坂人で語りのプロであるにもかかわらず笑いを取りにいかない、超真面目派。龍爾さんは、自虐ネタ満載の鋭いお笑いトーク。二人がコンビを組むと、そのギャップの底知れない深さと連携プレー皆無のぶっきらぼうさに、何か起こるんではないかという気がして、観ている方も気が抜けない解説になる。素で(が?)面白い。

人形の方は一輔さん。ほのぼの。癒されました。

こうやってみると、技芸員の方の個性の強さというか幅というのは、一般企業などの組織とは一味、違う。こういった人々を率いる師匠や兄弟子というのもなかなか大変そうだなあ。それをいうなら下っ端だって大変か。私、試すなら三味線がいいけど、働くなら三味線か人形か…とか、会社から直行すると、そんなくだらないことを考えてしまうのだった。


菅原伝授手習鑑 寺入りの段、寺小屋の段

簑次郎さんの戸浪、紋豊さんの千代、和生さんの源蔵、勘十郎さんの松王丸の人形陣が、素晴らしくて見入ってしまった。何といっても勘十郎さんの松王丸は、歌舞伎役者を含めて、勘十郎さんの松王丸以上に松王丸を松王丸らしく演じられる人がいるかと思うほど、素晴らしい。また、和生さんの源蔵は、想像していた以上に骨太で素敵。簑次郎さんの戸浪も可愛らしい。そして私にとって一番新鮮だったのは、紋豊さんの千代。私は紋豊さんは爺婆や脇を固める老女方で観ることが多く、抑えた演技というイメージがあったのだけど、大人の女の嘆きを存分に表現されていて、私の紋豊さんのイメージが大きく変わった。今後も是非、主役級の女方を見たいと思った。

で、ふと考えてみると、人形は、立役より女方の方が役者が揃っている気がする。男性ばかりの文楽にあって何故なのだろう?違う分野ではあるが、女性能楽師は女性の役を舞うのは難しいという。同じように男性は女方の人形の方が遣いやすいといったことがあるのだろうか?今の文楽の観客は女性も多いので、マーケティング的には女方が充実しているのは良いことだと思うけど。

ところで、本筋とは関係ない話なのだが、ツメ人形の中に私が心中「ビートたけし」と呼んでいる首がある。一時期見かけなかった気がしたので、ビートたけしに似ていると思ったのは私の勘違いか、それともお役御免でどこか倉庫の中に眠っているのかとひそかに気をもんでいた。しかし、この日、寺小屋の段で、ビートたけしが駕籠舁Aとして健在でいるところを目撃した(たけしクンの当たり役は駕籠舁とか槍を持った番卒なのである)。あーよかった。


というわけで、ふと気づけば、これが今年の文楽見納めだった。まだまだ全然文楽は分からない。当分は見続けないと気が済まなそう。。。