紀尾井小ホール 女流義太夫の新たな世界

解説、人形について
加賀見山旧錦絵
 草履打の段
 長局の段 
 奥庭の段
http://www.kioi-hall.or.jp/

面白かった。また来年も楽しみにしています。

開演前に和生さんによる人形のお話と水野悠子さんによる加賀見山の解説。去年は女義の歴史とかをスライドで見せてもらって大変面白かったが、今年は演目の解説のみで、ちょっぴり残念。

去年は「二人三番叟」と「良弁杉の由来」で、私の記憶が正しければ、良弁杉は全て駒之助師匠だった。今回は、景事は無しで(三番叟を景事っていっていいのか分からないけど)、鏡山のみ。文楽組は人数も増えてパワーアップ。

駒之助師匠はさすが。鮮やかな語り分けで、語り始めからぐっと惹きつけられてしまった。駒之助師匠のお初はかなり甲高い声でしかも早口。さすがの文雀師匠も、あまりに早い語り口に、最初の内は浄瑠璃に若干遅れ気味だった。武士の娘がこんな甲高い声でしかも早口で話すんだろうか?と思ったが、お初は大変オットコマエな娘で、奥庭では足も使って見得も沢山切っちゃうくらいで、源太の首の若武者の娘版というような感じなので、最後は納得した。

尾上とお初の会話で浄瑠璃が好きという話が出てきた時、思わず、「そうそう、尾上さん。やっぱストレス解消に趣味は大事だよー」と自己正当化している自分に気づく。うーむ、200年以上前の作者の乗せられるとは…。この狂言はお江戸外記座が初演。武家に仕える女性を意識した狂言で、例えば、衣装も岩藤が黒地に金の立湧の打掛(確か…)、尾上は打掛は忘れてしまったけど(確か有職文様だったような)中に着る小袖は無地の紅、お宿に戻ってくると尾上は紫地の秋草文様、迎えるお初は黄八丈、お初が文を届けに外出する時はまた着替えて、、と衣装を見るだけでも楽しい。ちなみに女義の方々も肩衣の色も文様も女性らしく柔らかなものだった。

奥庭の段の三味線の駒治さんが、ノリの良い段に相応しくメリハリの利いた演奏で気持ち良かった。

人形は、和生さんの尾上は初役とか。想像通り、こういう役はお似合いで、いつ本公演でもやってもらえるのか楽しみ。岩藤は玉女さんだったので、文楽でも立役の加役ということになっているのだろうか。でも、玉女さんは所作がきれいなので、特にそう意識もしなかった。文雀師匠のお初は、先にも書いたがオットコマエで、最後は観てる方も気分すっきり。

ちなみに、ちょっとWebで確認してみたところ、加賀見山は元になるお話があるらしい。平塚にお初のお墓があるとか。機会があれば行ってみよう。
http://www.lib.city.hiratsuka.kanagawa.jp/pdf/kiipu/067.pdf

加賀見山旧錦絵
 草履打の段   浄瑠璃         竹本 越孝
           三味線        鶴澤 寛也
 長局の段     浄瑠璃         竹本駒之助
            三味線         鶴澤津賀寿
 奥庭の段     浄瑠璃     岩藤 竹本 越若
                     お初 竹本 越京
                  安田庄司 竹本 越春
           三味線          鶴澤駒治

人形
 召使お初 吉田文雀
 中老尾上 吉田和生
 局岩藤   吉田玉女
 鷲の善六 吉田玉勢
 忍び当馬 吉田勘市
 安田庄司 吉田玉志
        吉田清三郎
        吉田玉佳
        吉田文哉
        吉田簑紫郎
        吉田玉翔
        吉田玉誉
        吉田簑次
        吉田勘次郎
        吉田玉若
        吉田福丸