国立劇場小劇場 9月文楽公演 第二部 沼津の段 酒屋の段

<第二部>15時開演
伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)   
沼津の段

艶容女舞衣(はですがたおんなまいぎぬ)
酒屋の段

http://www.ntj.jac.go.jp/performance/2789.html

伊賀越道中双六 沼津の段

今更言うのも愚かながら、住大夫師匠は素晴らしい。NHK様におかれましては、是非、この段を録画して年末か新春に放映していただきたいものです。

また、簑助師匠の十兵衛も素晴らしかった。幕切れは言うには及ばないが、そのほかにも何気ない所作、特に煙草を吸う風情など。ああ、煙草っていうのはこういうシチュエーションで吸いたくなるんだろうな、と納得のタイミング。例えば冒頭、平作(勘十郎さん)が荷物を担いで、十兵衛が先を歩く時、平作の家で平作に身の上話を聞く時に煙草をくわえる。しかもそれがかっこいい。歌舞伎俳優で煙草を吸う所作が何とも粋な人は何人かいるが、文楽の人形で粋に見せるというのはすごいことだと思う。


艶容女舞衣 酒屋の段

未だ理解できない演目のひとつ。私は忠義とか義理とかが過度に大きな割合を占める演目が苦手なようだ。酒屋の段もそうだ。


構図的には、恐らく舅(と姑)は嫁を、嫁は舅と姑を、嫁の親は舅と姑をそれぞれ心遣っているようだが、もっと本音で真剣に話し合ったら?と思ってしまう。この当時はまだ「大阪のオカン」は存在していなかったようだ。

また、どうも舅半兵衛(玉輝さん)や半七っつあん(一輔さん)の身になって聴くと感動するのではないかという気がするが(実際、近くの席の男性は、宗岸がお園を連れてくるところで既に泣いていた。まだ何も始まってませんから!)、私はついお園の立場で聴いてしまうのでよくないのだろう。とりわけ、お園が半七の耳ざわりの良い言葉ばかり連ねた手紙を読む場面で「(半七とお園は)未来は必ず夫婦にて候」という箇所を読む場面は、私がお園だったら「調子の良いことばっかり言ってんじゃないっつーの!」と手紙を破り、そのまま外にいる半七っつあんに跳び蹴りを食らわすところだ(※そのような運動神経はありません)。

半七っつあんよ、いつもは簑助師匠や文雀師匠がお園を遣ってるから無事だけど、もし仮に私とか玉也さんとかが遣ったらどうなるか、よー覚えとき!


という訳で、スケジュールミスで週末に4つも能と文楽の公演を入れてしまい、疲労困憊の週末でした。