日経ホール 竹本住大夫 素浄瑠璃の会

竹本住大夫 素浄瑠璃の会「菅原伝授手習鑑 桜丸切腹の段」(三味線=野澤錦糸) 対談

赤川次郎
http://www.nikkei-hall.com/event/?act=detail&id=106

浄瑠璃という芸能がいかに繊細なものかを改めて知った。お能の謡なども素晴らしいが、浄瑠璃は大夫一人(並びの時もあるけれども)、何人もの人を鮮やかに語り分け、それぞれの瞬間瞬間の感情や場面描写をその表現に取り入れ、音楽的にも美しくなければならない。

住師匠の浄瑠璃を聴いていると、鮮やかに情景が浮かび上がり、人形は必要無いというよりはむしろ邪魔といっても良いくらいだ。今まで人間国宝総出演の演目などを観ていたが、それにより浄瑠璃に十分意識が行かない時もあったのだから、勿体無い話だ。かといって、イマイチな浄瑠璃で観る人形は痛々しい。贅沢な悩みだ。

気になったのは、日経ホールの舞台装置。人間国宝を山台の板の上に直に座布団を置いて座られていたのが、気になった。毛氈を用意するとか、何らかの工夫があってもよかったのではないだろうか。

二部は住大夫の辛口のお話炸裂。浄瑠璃を聴いていられなくて、ぶん回しの裏にいてドンドン」叩いたり、指導することもあるという。だから大夫の皆さん、語り終わって床が廻る時も安堵の表情もなく神妙なのかも…?

とにかくますますお元気で出来るだけ末永く浄瑠璃を語っていただきたいものです。