ポーラ伝統文化振興財団 「文楽に生きる 吉田玉男」、長唄三味線 杵屋巳吉「長唄三味線の

魅力」

★☆ 銀座上映会(特別企画) ☆★
◆プログラム
上映 「文楽に生きる 吉田玉男
講演 杵屋 巳吉氏 「長唄三味線の魅力」
【杵屋 巳吉氏】
長唄三味線方である杵屋巳吉氏は、昭和57年、人間国宝七代目杵屋巳太郎氏に入門し、昭和59年に二代目杵屋巳吉を襲名します。
平成3年国立劇場にて黒御簾(くろみす)で演奏する際の指揮者に相当する舞台師を勤めるなど、歌舞伎長唄三味線音楽の伝承者としてご活躍されています。
平成21年、第29回伝統文化ポーラ賞奨励賞を受賞された杵屋巳吉氏に公演を交えながら長唄三味線の魅力やいろはについてご講演いただきます。
http://www.polaculture.or.jp/


ポーラ伝統文化振興財団の上映会。一部が「文楽に生きる 吉田玉男」で、二部が杵屋巳吉氏の長唄三味線演奏。大変楽しい夕べでした。

上映 「文楽に生きる 吉田玉男

1981年制作のドキュメンタリー作品(カラー・36分)。若い観客を楽屋?に招き入れ、文楽人形の説明をする様子や、足遣いを鍛える様子、朝日座の観客席、舞台、楽屋等々の様子、玉男さんの遣う「逆艪」の樋口、十九大夫、先代錦糸の床等々。

子供の頃、社会科の時間等に見せられた教育番組のドキュメンタリーのような感じで、エンターテイメント性はあまり無し。

カメラに映る人を見て誰が誰だか分かればもっと面白かったのだろうけど、私は人の顔を識別するのがどうも苦手で、そういう意味ではイマイチ楽しめず、残念。


講演 杵屋 巳吉氏 「長唄三味線の魅力」

これがものすごく面白かった。杵屋巳吉氏は、菊五郎劇団音楽部で立三味線をやったり、仁左衛門丈、玉三郎丈等の舞台の舞台師(黒御簾で演奏する際の指揮者に当たるとか)をされている由。また、「NINAGAWA十二夜」の出囃子や「信濃路紅葉鬼揃」(確か玉三郎丈のお能の「紅葉狩」を題材とした舞踊でしたっけ?)を作曲したりもしているとか。

講演ということだったので、どんなお話だろうと思ったけど、ほとんど独奏会。歌舞伎で使われる様々な合方や長唄を、唄や台詞付きで演奏してくださって(お声もとっても良い方なのです)、とっても楽しかった。長唄三味線一本の演奏だけでこれだけ面白いのだから、歌舞伎が面白いのも当然だ。そして、長唄三味線を聴きながら歌舞伎座公演がなくなってから全然歌舞伎を観ていないという由々しき事態にあることを猛省しました。しかし、文楽を聴き慣れてしまうと、歌舞伎の義太夫狂言があんまり面白くなくなってしまうのだ。なぜかというと、役者の台詞のイントネーションが関西弁でないと違和感を感じてしまうし、竹本も素敵な詞章とか聴かせ所がばっさり削られているので、「そっから始まるわけ?」とか「呼び出して終わり?」と拍子抜けしてしまったりするのだ。そもそも歌舞伎の演目の中では義太夫狂言が一番好きだったので、これは私にとっては大変困ったことだ。世の人々はこの点をどうやって克服しているのだろう?ただ、今回、改めて長唄三味線の面白さを知ったので、黒御簾音楽を聴きに歌舞伎の公演に行くというのは、ありかもしれないなあ。

というわけで、大いに盛り上がり、最後の質疑応答は何故かリクエスト大会となり、またいくつか演奏して下さり、大変楽しく会場を後に出来たのでした。…たまには歌舞伎も観よう。