杜のホールはしもと 文楽地方公演 夜の部

人形浄瑠璃 文楽
【夜の部】「二人禿」、「義経千本桜」すしやの段


「二人禿」

かわいい禿ちゃんたちの無邪気な遊び。大好きな景事のひとつ。

紋臣さんと簑紫郎さんの禿ちゃん。お二人ともさすが、師匠に似ているのですが、特に簑紫郎さんの方が、時々、どきっとするくらい、似ているのでした。


義経千本桜」すしやの段

開演前の解説で希さんが、「すしやの段の主人公は維盛」と言っていた。私は権太だと思っていたので、へーっと新鮮だった。しかし、そう思って語りを聴いてみると、維盛の父、小松の重盛公が影の重要人物としてストーリーから浮き上がってくる。その父の恩を返すために惟盛を救おうとする人々からの報恩を受けとめて、改めて父の想いを背負って平家の一門を弔うために仏門に入る維盛という選ばれし人の救済のストーリーの流れと、報われない恋をしてしまったお里と、悪業の限りを尽くした末に、維盛を助けることで父・弥左衛門に認められたいと願ったにもかかわらず、結局は無駄死となってしまった権太という市井の民の悲劇のストーリーの流れが交差した物語だということに気がついた。

汲んでも汲みきれない、意味やドラマを内に秘める名作だと改めて思った。


二週間前に神奈川県民ホールで拝見した時よりも完成度が上がっていて、昼の部も横浜で見ることができればまた面白かったのにとつくづく感じた。