国立劇場小劇場 12月文楽鑑賞教室 Aプロ

12月文楽鑑賞教室 Aプロ
靭猿(うつぼざる)
解説 文楽の魅力
恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな)
     道中双六の段
     重の井子別れの段
http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_s/2012/duplicate-of11.html?lan=j

靭猿(うつぼざる)

松羽目物。同名の狂言が原曲となっている。前回観た時も思ったけど、文楽の「靭猿」は、ちょっと松羽目物というのを意識し過ぎて仰々しすぎるかなといういう気がする。松羽目物のなかでも、「勧進帳」などのお能が原曲となっているものとちがい、葛藤や苦悩を描くというよりは、ちょっとはらはらするけど終わりよければすべてよしという小品の佳作の狂言が原曲なので、私自身は、もっと軽く、テンポよく演奏される方が好みかも。

後半は、狂言の「靭猿」を離れて景事っぽく踊り中心。大名、太郎冠者、猿曳き、猿が一緒になって踊る、文楽ならではの楽しい場面だ。


解説 文楽の魅力

相子さん、龍爾さんの床の解説に、文哉さんの人形の解説。

相子さんと龍爾さん、そのへんの噺家の人よりずっと話がうまいんじゃないだろうか。末恐ろしいです。特に床の解説を聞くたびに思うことだけど、解説のたびに演奏が上手くなっていてすごいなあと思う。


恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな) 道中双六の段 重の井子別れの段

和生さんの重の井がとても強い女性であることが印象的だった。でもきっと、それが正解なのだろう。私には子供がいるわけじゃないから想像ではあるけれども、親子の名乗りをして欲しいと懇願する我が子を拒絶するというのは、やはり普通の女の人の心性では難しいことだと思う。彼女自身が困難を乗り越えて獲得したのであろう強さ故に、より大きな親子の悲劇に直面しなければならないという悲しい皮肉なのだった。