東京国立博物館 平常展

昨日は、平常展も見たかったのに「京都五山 禅の文化展」で終わってしまったので、再度、足を運んで平常展を見る。


一番気に入ったのは、本館2F 10室「浮世絵と衣装―江戸 浮世絵」にある勝川春章筆の「東扇・中村仲蔵」。あの黒羽二重の斧定九郎で評判をとった初代中村仲蔵が定九郎の姿で扇のデザインとなっているのだ。確かに苦み走った粋ないい男で、浮世絵を見ただけでも、仲蔵のファンになりそう。あの扇のデザインで扇を作って歌舞伎座で売ったら売れるんじゃないかしらん。ちなみに役者絵として良く見る写楽の絵で、茶の着物を着て手をマエナラエしている役者は中村仲蔵だったのですね。

興味深かったのは、同じ勝川春章の「佐野川市松の人形遣」。女性が人形を持っているのは単なるポーズかもしれないが、とにかく三人遣いではなく、一人で頭の上に人形をもっていっている。

それから東洋館第3室「特集陳列 インドの細密画」もよかった。アラブの細密画も良いが、ここに陳列されているインドの細密画は絵本みたいにとっても鮮やかで、かつ、ファンシーな可愛い絵たち。確かトプカピ宮殿展か何かで得た豆知識では、細密画は経典などの挿絵から発展したとか。それにしても疑問なのは、何故、あの暑い国で、細密画を書く気力を搾り出せたか。普通に考えたら暑い国では大雑把な絵が主流となり寒い国では縮こまった絵が主流となる気がするのだが、実際には反対。西南アジアで細密画が主流となり、ヨーロッパでは豆本も無くはないが、祈祷書は大きいものが沢山ある。
とにかくインド人は根気強い偉い人たちなのではないか。細密画のみならず、二桁九九といい、暑い中、根気がなければとてもやっていけない。