出光美術館 没後170年記念 仙突・センガイ・SENGAI―禅画に遊ぶ―

betsuni2007-09-08


江戸時代の「しりあがり寿」と言いたくなる楽しい禅画。もともとは普通に上手い禅画を書いていたが、ある絵師に「絵が上手すぎて後世、雪舟のように禅僧としてより絵師として記憶に残るだろう」という指摘を受け、あのような絵を書くようになったという。

絵や遺品、数々のエピソードからは、大らかで楽しい人柄が伝わってくる。仙突さん、と親しげに声をかけたくなる。もし、今の時代に来てもらってギャラリー・トークでも開催すれば、爆笑の渦になるのではないだろうか。そんなことを想像してしまうほど、見ていてほんわか楽しくなる展示だった。

絵には、近松門左衛門の国姓爺合戦の「和唐内(和藤内)」が出てきたり、歌舞伎役者、尾上心七(新七)(※)の七変化という絵があったりする。仙突さんは1750年生まれ、1837年に没し、博多聖福寺の住職だったそうだが、この時代、博多でも歌舞伎や人形浄瑠璃が広く知られていたのだ、ということも興味深かった。近松には、滅茶苦茶博多弁が出てくる博多の女郎と海賊の戯曲があったけれども(題名失念)、あれなどは、博多では、どう扱われていたのだろう。

リニューアルされた陶片室がきれいになっていた!以前はあまりにうらぶれた部屋だったけれど、これでこそ美しい陶片たちも浮かばれるというものだ。なお展示ケースの下は引き出しになっていて、そっと手前に引いてみたら開いたのだけど、あれは、開けて見ても良いのでしょうか。是非見たいのですが…。

http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html

※早稲田の演劇博物館の浮世絵閲覧システムで尾上新七を検索してみたところ、初代から三代目までの似顔絵があった。初代だけがでっぷりとした体格の持ち主で、仙突さんの絵と似ており、楽しくなった。