歌舞伎座 壽 初春大歌舞伎 夜の部

一、鶴寿千歳(かくじゅせんざい)
二、連獅子(れんじし)
   初演:文久元年 1861年
三、歌舞伎十八番の内 
  助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)
  初演: 正徳3年(1713年)4月 江戸 山村座

http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2007/01/post_6.html

今年の初観劇は、歌舞伎座助六!思いっきりお正月気分。


鶴寿千歳

タイトルを書いてみて、ふと、どのあたりが鶴だったか、分からないで観ていたことが判明した。多分、後半に出てきた、白髪の姥、芝翫丈と、同じく白髪の尉、富十郎丈あたりかな?前半は、歌昇丈が松、錦之助丈が竹、孝太郎丈が梅の小枝を持って踊る踊り。踊りの上手い役者さん達の踊りは観てて気持ちいい。


連獅子

幸四郎丈の親獅子に染五郎丈の子獅子。お正月らしくて素敵。しかし、踊りが二つ続くと連獅子でもさすがにちょっと飽きてしまう。それゆえか、間狂言が面白く感じた。この間狂言は「宗論」という狂言が元になっているらしい。お互いに道連れとなることに合意して仲良く歩いていた日蓮宗の僧、遍念(高麗蔵丈)と法華経の僧、蓮念(松江丈)が、互いに対立する宗派と知り、相手に念仏を唱えながら数珠を掛け合ったり(※)、法華経の団扇太鼓と日蓮宗の鉦を叩き合ったり、最後はお互い南無阿弥陀仏、南無妙法蓮華経と念仏を唱えてちび黒サンボの虎のバターよろしくグルグル回っているうちに、いつの間にか、お互いが相手の宗派の念仏を唱えていて、びっくりする、というところで、後場となる。そもそものところで、何故、石橋物と宗論が一緒にかかることになったのかは謎。元々、お能の連獅子も間狂言に宗論がかかる場合があるようだ。話は戻って、後場の親子揃っての毛振りは、圧巻。もっとやってほしかった。来月の鏡獅子も楽しみ。
(※)義経千本桜の大物浦の段でも、弁慶が知盛に数珠を掛けるけど、あれな何のおまじないなんだろう?


助六由縁江戸桜

期待通り、面白かった。團十郎丈、他のどのお役をやっている時よりかっこいい。

福助丈の揚巻は流石、美しいの一言。少々お嬢様っぽさがあるかもしれないけど、私は福助丈の悪婆がちょっと苦手なので、今のままの方が好きかも。目元の紅の差し方がいつもと違っていて、雀右衛門風な福助版揚巻。あの目元は切れ長の目の方が似合うのではと思っていたけど、福助丈の大きな目にも意外に似合ってる。

ところで助六の登場人物はそれぞれ興味深いけど、その中でも私は髭の意休(左團次丈)が結構好きだ。なぜかというと、見た目もファッショナブルだし、敵役の割には、その台詞が結構、理に適ったことを言っているから。故事なんかを紐解いて助六に意見するところなど、知性派かつ大人の貫禄、という感じなのに、そんな人が友切丸を盗っちゃったり、きかん坊のような助六と揚巻をマジで争ってしまう意外性が面白い。

白酒売の梅玉丈は、その優男っぷりが白酒売に良く合っていて良かった。この役を、もし、藤十郎丈とかがやったら、さぞ上手いでしょうけど、さすがに嫌だな。と、書きたかったのだけど、意外に似合ったりして。ということで、大本は上方歌舞伎だった助六に出てくる白酒売は、上方のつっころばしの風情を残している、という説を提示したい。傍証は、えーっと、純粋江戸歌舞伎の寿曾我対面の十郎とは性格付けが結構違うところあたりか(対面の十郎が助六の白酒売のようだったら締まらないこと、この上ない!)。

通人も好きな東蔵さんで観れて満足。