国立劇場 初春歌舞伎公演

初世桜田治助=作
国立劇場文芸課=補綴
通し狂言
小町村芝居正月(こまちむらしばいのしょうがつ)五幕六場
      国立劇場美術係=美術

  序 幕  第一場 江州関明神の場
       第二場 裏手築地塀の場
  二幕目  南殿の場
  三幕目  深草の里の場
  四幕目  今出川黒主屋敷の場
  大 詰  けだもの店の場http://www.ntj.jac.go.jp/performance/1614.html

大道具の見せ場あり、琴責めあり、踊りあり、大立ち回りありの楽しい演目だった。


復活狂言なので、若干、筋に理解しにくい点があった。例えば、菊五郎丈と松緑丈は敵・味方にわたって四役を兼ねるので、途中でどこまでが”やつして”いて、どこからが別人扱いなのか分かりにくいところがあったところ、菊之助丈が演じるお役は一応様々な姿に化けるのだが顔やベースとなる性格は同じ(※)、なのに何故、名乗らないと時蔵丈や松緑丈は気が付かないのか、等。しかし、それほど真剣に筋を追うべき種類の演目では無し、趣向自体は楽しく堪能した。
(※)という設定になっているんだと思うのだが。。。


また一人何役もしたり"やつしたり"しているので、様々な衣装が出てきて興味深かった。小野小町は道中と「けだもの店(たな)」の女房にやつしている時以外は十二単、女官達は千早(ちはや)を着けた女官の采女のような装束、菊之助丈は町娘の小袖姿に四の切のような狐の衣装、松緑丈の暫をはじめとする様々な衣装。


時蔵丈の小野小町がとてもきれい。踊りは言うにはおよばず、琴責めはちゃんとご自身で弾きつつ歌われていたようで、さすが。また、菊之助丈の娘役が可憐。男性の彼の方が私より何倍も可憐だという点については、考えると情けなくなるので深く考えないようにしようと思う。そうそう、菊之助丈が登場するたびに、女性が、いっせいにオペラグラスを手に取り、松緑丈の見せ場になると、皆オペラグラスを置くのが可笑しかった。もちろん、松緑丈の踊りも荒事も、すっきり決まってかっこいいのだが。田之助丈もひさびさに観れてよかった。そういえば、あの旧「演劇界」での田之助丈の連載、神霊矢口渡の解説の途中でふっつり休刊になったっきり。連載再開を求む!