畠山記念館 春季展 細川井戸と名物茶道具 天下三井戸とよばれた茶碗

前期 4月1日(火)〜5月6日(火)
後期 5月9日(金)〜6月15日(日)

http://www.ebara.co.jp/socialactivity/hatakeyama/display/2008/spring.html

東博薬師寺展にそろそろ行かなくちゃ終わっちゃう、と思いつつ、待ち時間90分とかいう表示にゲンナリして行きそびれている。そんなに日光さんと月光さんの背中が見たい人が沢山いるとは知らなかった。

他にどこか面白いところがないかなと思っていたら、畠山記念館が面白そうではないか。二年ぶりぐらいで、途中、入り組んだ細い道で遭難しそうになりながら(ウソです)、行ってきました。


蛙図(狩野養川院筆、一幅、江戸時代 (18〜19世紀) )

一番気に入ったのは、これかも。小さな掛軸で、大きさは縦70cm前後、幅は20cmちょっとぐらい?天地のスモーキーな水色の裂と、スモーキーな水色とレモン色の細い縦線の入った上下の一文字が、絵にマッチしていて、すごく可愛い。そして、肝心の絵の方も、余白を大きくとっていて、左下角に青いカエルくんと芦の葉という構図で、ほのぼのなのだ。これは、レプリカがあれば買って帰りたいくらい気に入ってしまった。

色絵絵替り土器皿 尾形乾山作( 五客 江戸時代(18世紀))

こちらも乾山お得意のヘタ可愛いお皿。五客はそれぞれ、同じ色を使って違うデザインを描いている。色は、黄、赤、緑、青、茶、金。デザインは、八重葎(やえむぐら)、葦(あし)、浮草、菊、杉。ひょっとして、この前、出光美術館で見たかな?

酢槳草散文茶碗(李朝、17世紀)

もし、どの御茶碗がほしい?と言われたら、これ。酢槳草というのは、かたばみ、要するにクローバーのことらしい(*)。くすんだオフホワイトの茶碗の、見込みの上の方に四つ葉が一枚、掻き落としで描かれている。そして茶碗の外側にも、単純化した雲のような文様と共に、四つ葉が散らされている。すっごく可愛いのである。
(*)追記: かたばみイコール、クローバーと、思っていたのだが、かたばみ、というのはどうも、道端に生えているクローバーに似た葉っぱと黄色い花を持つ、あの小さな可愛らしい雑草のことのようだ。

郭公切(伝 西行筆、 一幅、平安時代(12世紀) )

My beloved, 西行さまの書と伝わる古筆。うねうねした詞書には、お別れの贈答歌です、みたいなことが書いてあり、郭公(かっこう、とあるけど、これは、ほととぎすのこと)の歌が三つほど書かれている。左大将って書いてあったけど、藤原実定(Wikipediaの説明はこちら)のことかな?西行さまによれば、郭公は親に向かって、ききって啼くそうです。

騎牛老子図(俵屋宗達筆、一幅 江戸時代(17世紀))

牛の上に達磨様にも見える老子がにこやかにこちらを見ているのでした。牛は力強く、老子は柔和な良い顔なのだ。以前見た、在原業平図が全然ハンサムじゃなかったのは、ますますわざとに思えてくる(ほんとは、大和絵風に描いたらああなってしまった、ということなのだろうが)。

沢栗炉縁(久以作、桃山時代(16世紀))

一番驚いたのは、これ。お茶の炉の縁の部分が桃山時代から伝わってるって、すごくないですか?しかも、作者まで分かってるのだ。確かに味のある炉縁だったけど。


という訳で、私が面白かったのは、展示の目玉の井戸茶碗以外。正直、井戸茶碗のどこが素晴らしいのか、よくわからないのだ。もし、自分の机の上に誰かが黙って井戸茶碗を置いておいたら、それを見つけた私は、喜ぶどころか、きっとむっとするだろう。そのくらい、分かっていない。展示する側から見れば、ターゲット外の見物人かもしれず申し訳ないが、私的には、他の出品物が面白かったから満足なのだった。