古語辞典

私の持っている古語辞典のひとつは、恐らくメジャーな古語辞典の一つだと思うのだが、私が調べる言葉はことごとく載っていない。私が調べる言葉なのだから、かなり基本的な言葉なのだと思うのだが、本当に気持ちいいくらい、載ってない。


それで最近は、代わりに別の辞書を使ったりするのだが、これが、国語辞典なのにもかかわらず、古語もばっちり載っている優れモノだ。私が調べるのは、大抵、浄瑠璃謡曲、そこから派生する和歌、物語等々に出てきた言葉だが、調べた見出し語の例文に、今、読んでいるそのものずばりの文章が載っていたりさえして、思わず、にんまりとしてしまったりする。ひょっとして、この辞書の編者は文楽お能が好きな人なのでは、と、勝手に親近感を抱いたりもしている。


そんな理由で、最近は、その知りたいことが載っていない古語辞典はほとんど見ない。時々、知りたい言葉が載っていないことを確認するために開き、やはり載っていないのを確認して満足するくらいだ。この、それなりに分厚い辞書は、どんなモノを読めば、ザクザクと知りたい言葉が見つかるのだろう。せっかく引かれるために生まれてきたのに使ってあげられないので、背表紙を見る度に、少しだけ、申し訳なくなる。