retrospective 地謡

この前、東博で見た「能狂言絵巻」が、気になっている。

この絵巻には、地謡の人が、地謡座に12人、後座の囃子方後方に10人近くいた。もし、この人達が全て地謡なら、私にとって理想的なフォーメーションとなる。どういうことかというと、お能のチケットを買う時に常に直面する、「どのブロックの席を取るか」という難問が、このフォーメーションなら解決できるのだ。


理由を説明すると、私は基本的に地謡を楽しみたいのです。そういう人は地謡の方と向き合う形になる脇正の席を取ればいいはずだ。ところが、楽器をじろじろ見るのも楽しみだ。その場合は、素直に正面を取るべきである。ここで、大抵、脇正にすべきか、正面にすべきか、ハムレットのように悩んでしまう。とうとう決められずにイイトコどりのつもりで中正にすると、結局、シテ柱がむちゃくちゃ気になる席で、一番肝心な場面のシテの様子がスッポリ柱で隠れて見えなくなったりする。余程、歌舞伎座のように、三階席からは花道は見えません、一階桟敷は席は広々、お茶も付いてます、みたいにグレードで分かれていたほうがまし、と何度、思ったことか。


だがしかし、もし、地謡地謡座と後座の二手に分かれてくれれば、ことは簡単。正面席に座ればいいのだ。そうだ、そして、このフォーメーションだと二手に分かれた地謡がお互い合わせにくいので、きっと笛柱あたりに地頭が座るだろう。そしたら、いつもは地謡の後列で陰に隠れたりしてなかなか見えない地頭がすごくよく見える。


いーなー、これ。現代の公演でも、復活してくれないかな。唯一の欠点は地謡の人数が倍になると、きっとチケット代も値上がりすることか。。