三井記念美術館 特別展 美術の遊びとこころIII NIPPONの夏

特別展 美術の遊びとこころIII NIPPONの夏
−応挙・歌麿北斎から「きもの」まで−
平成20年7月12日(土)〜9月15日(月・祝)
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition_01.html

涼を求めて、行って参りました。とゆーか、期間限定で夜間もやっていたらしい。その時行けばよかった。

桃色絽地籠摘草模様単衣( 明治時代・19 世紀個人蔵)
忍草の文様がちりばめられている。忍草というのは、和歌に出てくるだけのものかと勝手に思っていたけど、シダ類の実在する植物、ノキシノブのことだそうだ。日本全土に自生するらしく、写真を見てみると、確かに見たことがある。文様自体は、木の芽みたいに見えたけど、本物はちょっと違うみたい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%8E%E3%83%96

「江戸三社天下祭絵巻」(右隻部分)(江戸時代・17世紀 個人蔵)

歌舞伎舞踊の「神田祭」 を髣髴とさせるような絵。

「色ガラス製虫籠」(江戸〜明治初期・19世紀 個人蔵)

ガラスも涼しげな虫駕籠。何となく東博かどこかの絵の中に同じものを見た気がする。

「清貞美婦鏡 中将姫団扇」(歌川国貞筆万延元年(1860) 江戸東京博物館蔵)

中将姫が山の中に逃げてやっと落ち着いているところとか。下ろし髪に大きな花の簪をつけて、赤い振袖に墨染の袈裟を着けて、何かを書きつけながら本を読んでいる。 中将姫は好きだけど、色合い的には、あまり涼しげでないのが難点か?

中洲納涼図 歌川豊春筆 (江戸時代・18世紀 個人蔵)

江戸の一時期、隅田川の大橋と永代橋の間に中州があって、繁華街として賑わっていたとか。Wikipediaには、このあたりにあった無人の荒地だった「中州の渡し」のことが書いてある。豊春の描いた中州は江戸時代の短い一時期にしかなかったようなので、これとは別物なのだろう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9A%85%E7%94%B0%E5%B7%9D%E3%81%AE%E6%B8%A1%E3%81%97

月下舟遊図(礒田湖龍斎筆江戸時代・18 世紀 千葉市美術館)

美しい下ろし髪の女性と共に、女の子が二人、舟から身を乗り出して水面を見ている。舟に乗る女性と二人の禿は江口の君を表すと書いてあった。西行のエピソードでは、江口の君が舟に乗っているという話はなかったので、不思議に思った。家に帰って、半魚文庫謡曲の方の「江口」の詞章を読むと、なるほど、

ワキ「ふしぎやな月澄み渡る水の面に。遊女のあまたうたふ謡。色めきあへる人影は。そも誰人の舟やらん。
後シテ「何此舟を誰が舟とは。恥かしながら古の。江口の君の川逍遥の月の夜舟を御覧ぜよ。

とあった。どうも、後シテの江口の君は、作り物の屋形舟に他の遊女二人と乗ってくるらしい。
ふむふむ。そういえば、今までも月下の舟の上の美女という画題の絵はいくつか見たことがある気がするけど、それらも江口の君だったのかもしれない。