国立劇場 10月歌舞伎公演「大老」
平成20年度(第63回)文化庁芸術祭主催
北條秀司十三回忌追善
北條秀司=作・演出
織田紘二=演出
「大 老」(たいろう) 五幕九場
浜田右二郎=美術第一幕 彦根城外埋木舎
第二幕 第一場 千代田城接見室
第二場 外桜田井伊家上屋敷奥庭
第三幕 第一場 外桜田井伊家上屋敷広庭
第二場 江戸水戸屋敷一室
第三場 水戸城下外れの森の中
第四幕 外桜田井伊家上屋敷奥書院
第五幕 第一場 千駄ヶ谷井伊家下屋敷一室
第二場 桜田門外
http://www.ntj.jac.go.jp/performance/2075.html
面白かった。
さすが昭和45年の初演だけあって、その当時の熱い(暑苦しい?)時代の空気というものの片鱗が伝わってくる。同じような時代を扱った、歌舞伎座の「竜馬がゆく」は、これに比べたらずっとさらさらしている。
ちなみに、当時の写真を見ると、井伊直弼が白鴎、河原崎国太郎のお静、玉三郎の昌子の方、現幸四郎の長谷川主膳、延若の水戸斉昭公、現仁左衛門の古関新一郎、吉右衛門の古関次之介等々と、そうそうたる顔ぶれ。こちらも映像があるなら観てみたいなあ。
ところで、井伊直弼が彦根で不遇をかこっていた時代の住居に「埋木舎」と名づけたというが、「埋もれ木」という言葉は前日に観た、お能の「鵺」でも頼政の辞世の句として出てきた。「埋木舎」は、直弼が詠んだ歌、「世の中をよそに見つつも埋もれ木の埋れておらむ心なき身は」から来ているらしいが、頼政の辞世の句も念頭にあったのだろうか。