国立能楽堂 定例公演 薩摩守 柏崎

狂言 薩摩守(さつまのかみ) 大藏千太郎(大蔵流
能  柏崎(かしわざき) 武田志房(観世流

http://www.ntj.jac.go.jp/performance/1798.html

薩摩守

お金を持たずに住吉詣でに行こうとする旅僧と秀句(洒落)好きな渡し守のお話。いつの時代にも、洒落好きな人というのはいるものです。


柏崎

よく見るお能とは異なる構成。まず、地謡囃子方が舞台の定位置につくと、普通は次にワキが登場することが多いが、今回はワキより先にシテが橋掛りを歩んでくる。そして、シテが蔓桶に座ると、次第が始まってワキが橋掛りから登場する。通常とは登場順と舞台での位置関係が逆なので不思議な感じ。


中入りの時も、普通はアイが出てきてワキと問答をするが(その間にシテが後シテの装束に替えるので、アイはやたら詳しく話す)、この曲では、ワキツレの善光寺の僧が登場して名乗ると、すぐに後シテの登場となる。そして途中、物着をして世阿弥が作ったという善光寺曲舞となる。この曲舞は華やかで良かった。そして、歌占のように探していた子供と再会してハッピーエンドなのだが、子供を先に橋掛りに返して、別々に戻るのは、今の人間からしてみると、会えて本当にうれしかったのか、イマイチ伝わらず、不思議だなあと思いながらの幕となった。