横浜能楽堂 「源氏物語―それぞれの恋心」 第三回「玉葛―乱舞する蛍と恋」

能組

案内人  馬場あき子
謡曲朗読 「玉葛」 加賀美 幸子
玉葛
シテ:塩津哲生、ワキ:宝生閑、アイ:高澤祐介
大鼓: 佃 良勝、小鼓: 大蔵源次郎、笛:松田弘
後見: 中村邦生、塩津圭介
地頭: 友枝昭世
http://www.yaf.or.jp/nohgaku/

馬場さんのお話では、玉葛は一見、源氏に心を奪われず、鬚黒大将と幸せな結婚をした女性という風に見えるが、実は、そうとばかりも言えないという。実は、年齢を重ねて行くにつれて、源氏の気持ちを知り、源氏にひかれていったのではないかというのが、馬場さんの説。そして、このお能も、そう考えるとよく理解ができるのだという。そのように、源氏物語は、中世の研究家たちによって研究されもっと深い解釈がなされたのだという。

なるほどと思ったが、お能を見て、合点が行くというところまでは、理解が進まない。こういうことは私の場合はゆっくり理解しないと駄目らしい。

お能の方は、とても美しかったのであるが、シテの声がくぐもって聞き取れないのは参った。事前に二三回詞章を読んだぐらいでは太刀打ちできなかった。もっと分かるようにならないと、と思った。

終了後の山口能装束研究所の山口憲さんの話がとても面白かった。

それに能装束も。シテの装束は、前場が、縫箔、紗綾形霞に花の丸文様・段替り、後場が、秋草源氏車に短冊色紙文様・白色。この前も思ったが、展示されている装束と実際に能舞台の上で見る装束は、見え方がかなり違う。例えば、今回の玉葛の前シテの装束は、黄金と白と白金の唐織かと思ったが、展示されているのを見ると、黄金色とみえた部分は点描のように金箔が貼られていて、その周りは紅色の細長い格子になっており、白金のように見える部分は、赤色の代わりに緑色の格子になっているのだった。普通の玉葛は、後場はこのような白い装束は付けないのだということだった。この全身白色の衣装が本当に清楚できれいだった。