三井記念美術館 寿(ことほ)ぎと幽玄の美―国宝雪松図と能面―

2008年12月10日(水)〜2009年1月24日(土)
「旧金剛宗家伝来能面」54面の重要文化財新指定記念
寿(ことほ)ぎと幽玄の美―国宝雪松図と能面―

http://www.mitsui-museum.jp/exhibition_01.html

「旧金剛宗家伝来能面」が展示されているというので、行ってみた。これらの能面は、昭和10年頃、金剛家23世金剛右京が三井八郎右衞門高公氏(北三井家11代、1895〜1992)に譲ったものだという。


私が観たことがある金剛流能楽師は、宗家と豊嶋三千春師だけだが、どちらも力強い大らかな舞台だったという印象がある。そのため、今のところの私の金剛流に対するイメージはそんな感じ。ここに出されていた能面も、そういう印象と軌を一にするものだった。

全体的に、能面は少し大きく縦長で鼻筋や目、口元が力強い面ばかり。女面も、可愛らしいとか繊細というよりは、忍耐強そうな表情のものが多かった。あの金剛流の大夫金剛孫次郎が亡き妻の面影を能面として彫ったという「孫次郎」の面を髣髴させるものが多い。要するに、どれもこれも孫次郎(とゆーか、孫次郎の妻)の親戚一同といった顔立ちなのだ。展示された能面を見ていると、例えば披露宴で新郎新婦の親戚一同を見て、おお、やっぱり親類は似てるなーと思うあの感覚と同じ感覚を持つことが出来る。だからどう、と言われてもこまるのですが。。


能面以外で面白かったのは、入り口付近にあった、茶道具に能関連の銘をつけたもの。それぞれ、おーなるほど、と思うような銘が付いている。それから宗旦は能楽関係の銘が多い、という解説があって興味深かった。「つぼつぼ」の替紋も宗旦だし、いい味出しているかも、宗旦。でも佐藤雅彦チックな人だったら、ちょっとやだなー。茶道具のトリは長次郎の「俊寛」だった。これだけは、観ても、なるほどーとは思えない銘で、何故だろうと思ったが、そうだった、利休が薩摩(鬼界ヶ島のあるところ)の門人に三つの茶碗を送ったところ、二つ送り返してきたので、残ったものを「俊寛」と名付けたという話だった。


他に、「駿河越後屋正月風景図」(鳥居清長筆、江戸時代)だろうか。あの、通りの両側が越後屋で消失点のあるところに富士山が描かれているというあの図だが、今も同じように右が三越、左が三井本館となっているという。そういう絵を三井本館内の三井記念美術館で見るというのも、なかなかオツである。