出光美術館 文字の力・書のチカラ

文字の力・書のチカラ ―古典と現代の対話―
2009年1月10日(土)〜2月15日(日)
http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/index.html

面白かった!

特に、和歌に関しては、「石山切」、「継色切」、「戌辰切」、西行の「中務集」、光悦&宗達の「花卉摺絵古今集和歌巻」等々、有名な断簡が沢山。特に、書そのもののことではないけど、藤原公任の石山切の継紙は思った以上にビビッドな色で驚いた。これが平安時代のものだなんて、信じられない。その唐紙を作った職人に1000年経ってもこんなに鮮やかな色で残ってますよ、と教えてあげることが出来たらいいのに。

断簡つながりで言えば、待ったましたの国宝、古筆手鑑「見努世友」。私が見た時は、菅公、伝貫之、道風、佐理、源順、定頼、空海等々。「見努世友」って、考えてみれば、徒然草、第十三段の「ひとり燈火のもとに文をひろげて、見ぬ世の人を友とするこそ、こよなう慰むわざなれ。」か。一体、誰が「見努世友」を作ったのだろう。


それから、一休さんの書は、スパっとして、良くその性格を表していた。書は人だなあと思わせるものだった。くだらない話だが、小学2年生の時、学校で一休さんのとんち話の本が大流行していて、私も父親に「一休さんの本を買って!」と訴えた。しかし、父が買ってきたのは高学年向けの一休さんの伝記。とんちの話は、申し訳程度に一つか二つしかなくて、後は一休の厳しい求道の生涯の話だった。もう、がっかり。その伝記の中でも、特に、正月に巷では新春を寿いでハレの騒ぎをしているときに、一休禅師が街中を髑髏を杖か棒の頭に掲げて歩き回り、「人は死すものである」とか何とか説いて回ったとかいうエピソードは、「一休さんは恐ろしい人」という強烈な印象を小学2年生の私に植えつけた。その後、アニメの一休さんが面白かったのを別として、一休さんと素直に向き合う気持ちになれなかった。今、やっと一休さんの書と対面して一休さんの気持ちを受け止めようすることができる年になってきたような気がする。まったくもって、何の役にも立たない話ですが。