歌舞伎座 さよなら公演二月大歌舞伎

一、菅原伝授手習鑑
  加茂堤
  賀の祝
二、京鹿子娘二人道成寺
  道行より鐘入りまで
三、人情噺文七元結

http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2009/02/post_36.html

二人道成寺を見ずにはいられないので行って来ました。


菅原伝授手習鑑 加茂堤 賀の祝

かなり面白かった。歌舞伎ってやっぱりいいなあ。最近、和歌を眺めたりするので、台詞に絡めて歌枕とか物語にゆかりの地名(三笠山とか糾河原?とか)が出てくると、ジーンとする。駄洒落と言ってしまえばそれまでだけど、昔の人は、古歌や歌枕に今よりずっと鋭い感覚を持っていて、そこから様々なことを想像できたに違いない。ああ、もっと和歌を知っていればもっと面白いのに。世阿弥花伝書(たしか)の中で、「お稽古はしっかりしないといけないけど、和歌の趣味は良い」という趣旨のことを書いているけど、最近、その意味が分かる気がしてきた。


京鹿子娘二人道成寺

もう、夢の世界。舞台がきらきらして見える。相舞が素晴らしいけど(そういえば歌舞伎舞踊で相舞ってそんなに無い気がする)、菊之助丈が自信を持って一人で踊る姿もなかなか良かった。終わらないで頂戴!と祈ってしまうような舞台でした。


人情噺文七元結

面白すぎ。音羽屋名物、国立の復活物並におふざけがすぎるように見える部分もあるけれど、菊五郎丈のやることは全てOKと言いたくなる。音羽屋親子の長兵衛、文七の会話も笑えるし、時蔵丈のおカミさんは、歌舞伎特有のじめっとしたところがなく、からっとしたコメディエンヌで、笑わせてくれる。あの手のおカミさん役は、特に菊五郎丈が夫役の時は、今後は全部、時蔵丈でやって欲しいくらい。唯一、難を言うとすれば、吉右衛門丈の出番が少なすぎることか。そもそもあの程度なら出る必要があるのか?という気もするけど、まあ、顔が見れたのだからよしとしよう。夜の部の勧進帳も見れると良いのだけど…。


というわけで、充実の昼の部でした。


最後に、歌舞伎座再建計画の新歌舞伎座のデザイン。石原都知事も作家なのに日本文化のことを分かってなくて残念。「銀座に似つかわしくない」というところこそ、かぶくこと、歌舞伎の本質なのに。大体、日本人でも外国人でも、歌舞伎座の前に連れて行って喜ばなかった人はいない。むしろ、オペラ座を真似て作る方がよっぽどこっぱずかしい。石原都知事は、歌舞伎のこと興味ないなら、一々口を挟まなければいいのに。お陰で、あんな中途半端なデザインになっちゃうし。松竹もこれみよがしに最先端のデザインにでもしてくれたら、大反対運動を起こせたのではないだろうか。