鎌倉芸術館 松竹大歌舞伎 公文協 東コース

一、正札附根元草摺(しょうふだつきこんげんくさずり)

二、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
  下市村茶店の場
  同  釣瓶鮓屋の場

鎌倉で義経千本桜を観られて、かつそれが仁左衛門丈の当たり役の権太で、大満足でした。


仁左衛門丈の権太は、単に記憶が飛んでしまっているのかもしれないけど、細かい所作が以前観たものと異なり、ますます進化しているような気がする。特に、伏線となる部分、例えば、茶屋での家族想いな様子、子供の笛を預かるところ、弥左衛門が鮨桶に小金吾の首を入れるところ、梶原景時が若葉の内侍と六代に扮した小せんと子供を連れていく時の様子等、要所要所で印象に残るよう、きちんとアクセントを付けられていて、話がわからなくなる、ということがない。もう少しさりげなくてもいいのでは、と思わなくもないけど、多分、地方巡業で歌舞伎を見慣れていな観客が多いということを意識しているんだろう。


最後、幕切れの時に改めて気がついたが、幕切れの場に居合わせた人々、この権太とその家族、惟盛とその家族は皆、それぞれ不幸に終わる。これだけの脚本を作れる、竹田出雲、三好松洛、並木千柳の戯作チームは返す返す素晴らしい。


他に、小せんの秀太郎丈、弥左衛門の彦三郎丈、お里の孝太郎丈、小金吾の愛之助丈、若葉の内侍の高麗蔵等々、お気に入りの配役。あえて言えば、猪熊大之進の薪車丈の出番が少なすぎの点と、惟盛の秀太郎丈がイマイチ、お江戸の人間が期待する惟盛像では無かったということぐらい。


という訳で、楽しく劇場を後にしたのでした。