輪王寺両大師の御車返の桜問題

他にも山ほどメモっておきたいことがあるのだが、どうしても忘れてしまう前に書いておかねば気が済まず、今更ながら輪王寺両大師の御車返の桜について。


上野の東京国立博物館の向かって右側に寛永寺の両大師というお寺があって、そこに「御車返の桜」という桜がある。これは、京都の常照皇寺にある同名の桜を移したもので、後水尾天皇があまりの美しさに帰りがけ牛車から何度も振り返ったからこの名前が付いたという。

この桜の特徴は、一重と八重が一木に咲くことだ。一重と八重を足して九重(宮中の意)となり、それもあって後水尾天皇も心惹かれたのだろう。


去年の春に本当に一重と八重が咲くところを観てみたいと思い、御車返の桜を見に行ったのだが、残念ながら桜の盛が過ぎた時期で一重と八重が咲いている様子ははっきりとは確認できず(その時の写真はこちら)。

待つこと一年。今年こそはと思い、去る4月4日、ちょうど桜が満開の頃に御車返の桜を見に行ってみた。
その時の桜がこれ。


私は一重桜に見えたのだが、どうだろう。去年見た桜(こちら)と比べると、肉眼でも桃色が濃く見えた。木全体がこの桃色の桜で占められていて八重の桜の花は見つからないのだ。しばらく見ているうちに、ふと、ひょっとして八重桜というからには、一重の桜より遅れて咲くのではないか、と思って、翌週に再度来てみることにした。


で、1週間後の4/10、再度、桜を見に行ったのだが、その時の写真がこれ。



確かに見た目は八重桜っぽいのだけど、肉眼では一重に見える。一ミリでも花びらが重なっていたら八重桜って言ってもいいのかしらん、等と八重桜の定義さえ自分の中で段々あやふやになってきた。


おそらく、この二種類の桜が時期をずらして咲くというのが「一重と八重の桜が咲く」ということなんじゃないかと結論付けたくもあり、イマイチ納得できなくもあり…。


実は、この写真を撮った翌日は大阪の文楽劇場に行く予定だったので、これはもう、文楽を観た翌日、常照皇寺か、さもなくば同じく九重桜が咲くという清水寺の地主権現に行ってこようかと思ったのだが、結局、文楽を二日連続で観てしまって分からずじまい。桜の本も図書館でいくつか眺めてみたけど、一重と八重が一木に咲くというのはどのような状態かということを記した本を見つけることもできず。

…また来年に持ち越すべきか?


というわけで、溜りに溜まった5月と6月に観たお能のメモを6月中に書いて、何とかキャッチアップしたいと思っておりまする。