サントリー美術館 誇り高きデザイン 鍋島

サントリー美術館 誇り高きデザイン 鍋島
会期: 2010年8月11日(水)〜10月11日(月・祝)
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/10vol03/index.html

先日、大阪市立東洋陶磁器美術館の安宅コレクションを観たいと思って以来、陶磁器を観てうっとりしたいという気持ちが止み難く、大好きな鍋島の展示をサントリー美術館に観に行きました。

私自身は鍋島は伊万里や染付の展示の関連展示として観ることが専ら。鍋島をある程度体系的に扱った展示は観たことが無かった気がする。というわけで、今回の展示は、私にとっては大変おもしろい内容だった。


一番、興味深かったのは、鍋島の文様のテーマ。

同じ肥前にある民窯の伊万里はそもそも朝鮮から連れてきた陶磁器の職人の技を受け継いでいるし、オランダ東インド会社が輸出用に景徳鎮の磁器を真似た磁器を注文したという背景もあり、自然、中国風の文様が主流になったようだが、鍋島藩御用達であり将軍家へ献上する機会も多い鍋島の陶窯では、伊万里とは違う文様が主流なのだ。

具体的には、能装束の文様に使われる文様が大変多いのだ。たとえば、桜御所車、桜筏、花籠、毘沙門亀甲文、水車、芝垣に菊、芝垣に蔦、青海波、宝尽、七宝繋、熨斗目、菊流水、雪輪、等々。また、直接的にお能の曲を思い出させるモチーフもある。枝垂桜(西行桜)、桃(西王母)、蜀江文(翁)、そのものずばり、紅葉狩。やはり、鍋島藩御用達だけあって、武家好みの文様が多かったということだろうか。しかも、これらの多くが和様の文様であるのも面白い。


そして、うれしかったのは、東博の鍋島の中で私が一番好きな「染付雪景山水文大皿」が出ていたこと。しかも、解説プレートに「傑作」とあり、「そうだよね、やっぱり誰が観ても傑作なのだ」と、大変満足。解説プレートを読んでニタニタするのはさすがにまずいと思い、一生懸命押し止める努力はしましたが、口の端くらいは笑っていたかもしれぬ。東博への愛着が高じて、東博の所蔵品は自分の所蔵品ぐらいの気分でいる私です。