忘れんとすれ共忘れられず、しのばんとすれ共しのばれず

これは『平家物語』潅頂巻の「大原御幸」で、建礼門院安徳帝を偲んで、後白河法皇にもらす言葉です。

観劇や美術観賞と一緒にしたら、女院に怒られそうですが、観劇や美術観賞でも同じような感慨を持つことがあります。心に深く刻まれたものは、忘れようとしても私の心を捕えて放さず、かといって、その思い出の細部は、記憶の霧の中に少しずつ隠れるようにおぼろげになってゆく。

来年も、少しでもここに書き留め、未来にしのぶよすがにしたいと思います。気が向きましたら、どうぞお付き合い下さいませ。

来年も皆様にとって良い年となりますよう、お祈り申し上げます。