東京国立博物館 平常展 東洋館

http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=D01&processId=03&mansion_id=M2&dispdate=2009/06/05

東洋館は、耐震補強工事のため、休館とか。それで、とりあえず閉まる前に見てきました。あれだけ頑丈そうな建物に補強工事なんているのだろうかとも思うが、真ん中が1.5階、2.5階の踊り場兼渡り廊下にみたいになっているし、展示物も石像とか画像石とか陶器類とか、やたらと重量のあるものばかり置いているからかもしれない。ついでに内装も、もうちょっと明るめにしてくれるといいな!

今回、一番気に入ったのは、中国の刺繍の展示。

刺繍龍袍 (中国、清時代、19世紀)

紺に近い青の緞子に全面、龍やその他の文様の刺繍の入った中国の装束。この前に日本の江戸時代の粋を凝らした能装束を復原したものの展示を見たけれども、この中国の装束は、その比ではない。「わたし負けましたわ」という回文を思わず思い浮かべてしまった。
以前、京博の「京都御所ゆかりの至宝」という展示を見たとき、東山天皇(1675〜1709、在位1687〜1709)の即位式に着用した礼服を見たが、それを思い出した。天皇の礼服は、八世紀半ば頃、中国の礼服を模して整えられたらしい。日本では、それが天皇の即位の時のみに着用するように変わって、明治に入って改められるまでその伝統が続いたそうだ。そのせいか、東山天皇のものは、緋色の地に所々に龍等の文様がちりばめられているという割にシンプルな装束だったが、この「刺繍龍袍」は、清朝のものらしく、繊細なデザインと最先端の技術の結晶なのだった。


特集陳列 顔真卿(がんしんけい)とその周辺

子供の頃、お習字を習っていた書道会の月報のようなものには、いつも古い時代の書跡が掲載されていて、顔真卿も常連の一人だった。なんとなく「顔真卿らしさ」というものはあるように思っていた。しかし、こうやって一堂に会した拓本を見てみると、それぞれに表情がかなり違うことを知って、結構、意外だった。

それでもやっぱり、それらの筆跡には、素直さ、力強さ、堂々とした風格等といった「顔真卿らしさ」は共通していて、子供にとっては、昔も今も、お習字の永遠のお手本であるに違いない。


特集陳列 インドネシアの染織

十九世紀〜二十世紀の織物。文様をよく見てみると、唐草、鹿、亀等、中国や日本の布に使われる文様と共通する文様が見られて面白かった。多分、それらはインドから伝わったのだろうと思うけど、中国や日本の文様とはどのように影響を与え合っていたのだろうか。


北東アジアの考古遺物 朝鮮の考古、金工


太環式耳飾(「不畏也□令此刀主富貴高遷財物多也」銘、三国時代、5世紀)

http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=B07&processId=02&colid=TJ5071

私の好きな古代朝鮮のイヤリング(ピアス?)が、また飾ってあってうれしい。こういうのがいくつも展示されている。今、ブランドのアクセサリ売場で売っても、全く通用するんじゃないだろうか。


これでしばし、東洋館とお別れ。最後に1F入り口付近にいる東洋館のイメージキャラクター(と私が勝手に任命)、パキスタンの仏像(銘、香取慎吾くん)に挨拶をして、東洋館を出ました。再見!